だから俺と、付き合ってください。
「俺、なんでもっと早く綾乃のことこんなに好きだってことに気付かなかったんだろう」
「…………」
「大切にしてやれなくてごめん。今さらだと思ってるけど、本当に綾乃のこと好きなんだ。俺じゃダメかな?」
先輩の切ない語りかけを聞いても、私の心の中を埋め尽くすのは清瀬くんのこと。
それに今は頭の中ごった返していて、冷静に物事を考えられない。
「今は整理つかないかもしれないけど、聞かせてほしい。夏祭りの日、ここで5時に待ってる」
先輩はそう言うとその場を去って行った。
……どうしたらいいの。
混乱しすぎてなにも考えられない。なにも。
先輩……。清瀬くん……。
後悔してること、先輩の想い、伝わってる。
あの頃欲しかった気持ちが今目の前にあるのに、とてもじゃないけど喜べない。
好きなんだもん。清瀬くんのことが。
ただ好きなだけなのに、どうしてこんなに苦しいの。
一方通行の恋。ゴールの見えない暗闇。
持て余すほど大きくなった気持ちの拠り所がない。
たくさんの気持ちが交差してシンプルにはうまくいかない。
清瀬くんが私を好きになってくれたら……なんてワガママで自分勝手な考えがさっきから頭に浮かんではかき消してる。