不純な理由で近づきました。




…………ですよね。


当たり前だと思う。


しかも「それで」って何が「それで」なのか前後がおかしいと思う。


でもそれだけ緊張しているんですよ、と心の中で呟く。



「ダメですか?」



ダメ元でもう一度だけ聞いてみる。



「それは、ボクら二人に言ってる?」



二人……枢くんと一ノ宮くんってことだよね。


そう考えると……



「どちらかと言うと一ノ宮くんにでしょうか。
でも枢くんにいてもらったほうが嬉しいです」



その声でわたしの緊張を癒してほしい。



「もし時間があるのなら、西校舎3階奥の空き教室に来てください」



待ってますから、と言ってわたしは自分の席に戻った。


後ろから困惑したような視線を感じるけど敢えて無視。


というかそこまでの余裕はわたしにはない。


自分の席に座ったら一気に力が抜けた。



……自分で思ってた以上に緊張してたらしい。


あとは時の運か……


ドキドキと期待と不安で膨らむ胸を押さえて、わたしは午前の授業を受けた。







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