不純な理由で近づきました。



どうしてだろう。


危機迫るものを感じる。



「六花ちゃんのお兄さんってことはぁ」


「電話の相手はもしかして」


「と、TOMOさん、ですかっ?」



上からイリアさん、サユさん、ユスラさん。


三人の迫力にコクリと頷いた。


キラリと瞳を輝かせ、口元に笑みを浮かべる三人は、最強のスマイルで



「「「でて(ハートマーク)」」」



………と言った。



「………はい」



後ろの方でため息が聞こえる。


多分カインくんじゃないかな。


ちょっとだけ、カインくんの苦労が分かった気がする。


ふう、と気合いを入れてうるさいケータイのボタンを押す。



『りっかあぁぁ!!
なんで切ったんだよ俺ちょーショック受けたよ?!』


「……兄さん、ちょっと声のボリューム落と」


『それより聞いてくれよ六花っ!!

俺今週の仕事全部終わらせたぜ!!

六花といっしょに夏休みを過ごすために頑張ったぜ俺!!

つーわけで六花ぁ〜、俺といっしょに楽しい旅行を…っておいナル返せあほっ、』


『灯夏うるさいよー』


『だあぁぁっ!!ナル、てめぇ灯夏ゆーなっ!!』


『りっちゃーん、聞こえてるー?』


『おい聞けよ、ナルっ!!』






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