不純な理由で近づきました。



そして見せてもらったのイリアさんの浴衣は鴇色の背景に黄色や朱の鮮やかな花が大胆に咲いているもの。


サユさんは濃い紫に蝶が舞っているシンプルで大人っぽいもの。


2人ともイメージとピッタリ合っていて、着たら似合うんだろうなぁと想像してしまった。



「ふふっ、お祭りが楽しみね?カインたちにも通達して浴衣を着てもらおうかしら?」


「あら、いいんじゃない。カインはともかく六花ちゃんのお兄さんたちには着てもらいたいもの」


「と、トモさんとナルミさんの浴衣……」



あぁ、と目眩を起こしたユスラちゃんを慌てて支える。


兄さんたちにファンがいるのは知ってるんだけど、ここまで崇拝しなくても。


あんなの洋服を取ったらただのシスコンだよ?(失礼)



「浴衣はあとで届けてもらうとして、一先ずいい頃だし宿に戻りましょうか」



という一言でわたしたちは荷物といっしょに車に乗り込み、泊まっている宿に帰った。



(そういえば、わたしの持っていたあの浴衣はどうなったんだろう…?)




その答えが出たのは約1日後のことだった。






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