不純な理由で近づきました。



「もっと、ちゃんと…自分の目でしっかり世界を見たいな」



逃げて逃げて、逃げ続けてしまったけどやっと自分でそう思えるようになった。ちゃんと向き合って、素直にそう思えるようになった。


そして自然にそう思えるようになったのはきっと…



「見れるよ。六花が望むなら」



いつの間にか周りに人はあまりいなくて顔を上げるとぼんやりとした光に照らされている恭くんが柔らかな笑みを浮かべてわたしを見つめていた。


世界にわたしと恭くんの2人しかいないような、そんな錯覚をしてしまうぐらい今のわたしの目には恭くんしか見えなくて。


ドキドキと心臓が痛いくらいに高鳴ってずっと胸の中で燻っていたこの感情を否応なく知らしめる。


パァン、と夜空に鮮やかな花火が咲いた。




「好き…」




花火の音に紛れたわたしの声は胸の奥に育っていた花の蕾を開かせてその感情を華やかに咲かせた。


わたし、恭くんのことが好きなんだ……




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