不純な理由で近づきました。




因みに、今日は上履きの中に合計で五十四個の画鋲。


そして呪いの手紙が机の中から出てきた。


しかも一枚じゃなく十二枚。


内容はたいして変わらないんだから一枚で充分なのに。


なんて思えるあたり、わたしは他の人とずれているのだろうか。



「六花、ご飯」



ひょこ、とわたしの部屋の扉から兄さんの顔が覗く。


お願いだから、妹のプライバシーというものを考えてほしい。


でも言うだけ無駄だというのは理解している。


なんて虚しい。



「どうしたよ六花。最近浮かない顔じゃん」



今現在浮かない顔をしているのなら、それは確実に兄さんのせいだと思うけど。


と思ったけども、実際にそんなことは言えずに適当に返事をしておく。


今言ったら拗ねるの間違いない。



「ふーん、あ。これって呪いの手紙?」



机の上にそのままになっていたそれを兄さんは手にとる。


なつかしいなぁって、兄さん、あなた呪いの手紙を送ったりしてないよね。


はぁ、とため息が出た。



「そうだよ。十二枚もいらないのにね」


「十二枚!?」



その多さに兄さんは目を丸くしていた。


そして考えるように顎に手を添える。



「そういや、教科書新しく買いたいとか、体操服汚れてたりとか……
六花お前、いじめられてるのか!?」


「違う。嫌がらせを受けているだけ」



わたし自身はいじめられているなんて悲観的なものはない。


今のところ辛いことも何もないし。



「……六花。ちゃんと説明しろ!」



いいなっ!と予想外に強く言われて、わたしは頷いた。












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「……で?」


「それで全部だよ」



本当かと念押しされてわたしは頷く。









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