不純な理由で近づきました。




……びっくり、だ。


それ以外の言葉は見つからない。


カインくんにこんなかわいい弱点があるなんて……



恭くんに聞くと、カインくんは成績はいいけど数学だけは壊滅的らしい。


だからテストになると、いつもこうやって数学を教えているとか。



「恭くんは何か苦手な教科あるんですか?」



ふと気になった質問。


確か恭くんも成績はよかったはず。


おぼろげにしか覚えてないけども。



「恭はね、あえて言ったら英語?」


「まぁ、そうだな」



あぁ……ちょっと納得かもしれない。


恭くんはどちらかといえば理系だし。



「六花ちゃんは英語得意?」


「得意な方だとは思いますよ」


わたしは恭くんとは違って生粋の文系だと思う。


数学も理科も、それなりの点数はとれるけど。



「じゃあ恭は六花ちゃんに英語習いなよ。
ボクは恭に習って……
六花ちゃんの苦手は?」


「わたしは…理科科目ですかね」


「じゃあそれはボクが教えるよ」



ニッコリと笑うカインくんにわたしも笑顔になってお願いする。


結局、カインくんの数学のダメさが響き、わたしも基本的なところはカインくんに教えることになって。


カインくんが教えてくれるはずの理科科目は、笑顔のお礼ということで恭くんが教えてくれた。






< 95 / 257 >

この作品をシェア

pagetop