不純な理由で近づきました。




行ってみたいところは、ある。


でも、ここまで図々しく言ってもいいのだろうか……



「言うだけなら問題ないだろ」


「、え」


「言ったら?」



……恭くん、わたしが迷ってたのに気がついた?


思わず恭くんの顔を見つめると、肯定するように頷かれて。



……なんか、嬉しいな。


じんわりと、胸にあたたかなものが染みるような、降り積もっていくような、そんな感覚。


恥ずかしくて、でも心地よくて。


あぁ、わたしの柄じゃない。



「じゃ、じゃあ、わたし……二人の家に行ってみたいです」



キョトン、とするカインくんと恭くん。



「家?ボクと恭の?」


「はい」



前から二人の話を聞いているとき、たまにお互いの家で何々をした、という話があって。


楽しそうで、わたしもそこに混ざりたいというか……


行ってみたいな、と前々から思っていた。



「でも、いきなりは困りますよね」



家の人の用事とかもあるだろうし。


予想通り、カインくんは家にお姉さんがいるからダメで。


恭くんも都合が悪いということだった。







< 98 / 257 >

この作品をシェア

pagetop