ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


久遠さんは一歩二歩と黒川の前まで歩き、

足を止め、冷ややかな視線で見下した。




「本来なら、こういうやり方は好みじゃないが……

夏美の危機が予測される状況で、
優しい手段を考えてやる余裕はなかった。

悪いな」




瞳は冷えていても、なぜか久遠さんは「悪いな」と、一言詫びを入れている。



黒川もその言葉に、怪訝そうにしていた。



久遠さんは謝った意味を、淡々と補足した。




「時間がない中で作ったウイルスだから、攻撃性を制御するシステムまで付け足せなかった。


破壊したのは、スマートフォンとノートPCだけじゃない。


メール履歴が残されている関係先PCも、同じようにこのウイルスで破壊されていることだろう」




< 321 / 453 >

この作品をシェア

pagetop