小悪魔的な彼と悲観的な彼女


拓也君は心境を分かってくれたようで、私の代わりに言葉をくれた。

…でも。


「中身を全部出してくれる人って信頼出来るよね、嘘をつかないから。考えが読みやすいというか…読む必要が無いというか…」


…んん?

……あれ?


「分かりやすくて助かるな。これから先すみれさんとの事で色々頼りにしちゃうかもしれない」


なんて言う拓也君の笑顔は、もう完全にいつものあの…意地悪な時の、小悪魔的な時の、なんて言うか…何かを企んでるような、そんな笑顔に変わっていて…


「すみれさんの事、色々知ってくれてるだろうしね」


…ニッコリ笑いながら言うその言葉の裏側がもう、私には読めてしまう。読めるようになってしまったので、やめて下さい。

色々知ってる琴乃から私の事色々聞き出そうって魂胆が目に見えてて…怖い。二人がもし結託する日が来たら私は、私は…はは、敵う訳が無い。


「ん?どうかした?」

「いや、なんかちょっと目眩が」

「え、大丈夫?電車乗る前に休もうか?」

「はは…大丈夫だよ」


末恐ろしいけど、頼りになる二人な事には違い無いのです。そう、そういう事なんだよね。なんだけどね。


< 122 / 202 >

この作品をシェア

pagetop