小悪魔的な彼と悲観的な彼女


でも本当に、思い返せばあれ以来ずっとこんな事無いんだよね…うん。すごい、すごい事だ。拓也君と会う前までは結構頻繁にあったような気がしないでもないんだけどな。

それってつまり、拓也君と会ってからは泥酔する程飲む事が無かったって事で…だから言うならば泥酔しちゃうような事が無かったって事になる訳で…なんだかんだ私、拓也君と会ってから充実してたんだなぁ… と。そういう事か。

悩まされる事は沢山あったけど、嫌になって逃げたくなってどうしようもなくなった事は無かったって、そういう事だ。

もしかしたら悩んだりなんだりするのもまた楽しかったのかもしれない。刺激なんていらないみたいな事思ってたけど、本当は私こそ刺激を求めて止まなかったのかもしれない……なんて。


「はぁ…仕事行かなきゃだ」


とりあえず、散らばる服を片付けて手早く身仕度を済ませた私は、いつもより重い身体に鞭打ちながらいつも通りに家を出た。さて、出勤だ。今日も始まるんだーー…




「…うぅっ…」


つり革に掴まりながら電車で揺られ、思わずこめかみの辺りを指で押さえる。

頭痛い…昨日何時に帰ってきたんだろう。拓也君と分かれた後だからだいぶ遅かったんだろうけど…あ、そういえばさっき拓也君からなんか来てたな。えっとスマホスマホ…

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