小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…なんでさっき、気づかなかったんだろう。

そんな事実が目の前に現れてしまったらもう、私には見ないふりなんて出来ない。だって私の目は覚めてしまっている。

拓也君という人間に対して、私は今冷静な思考で分析する事が出来る。だからそんな私が辿り着いた結論、


ーーあぁ、なんだ。


結局始めから私も、二号だった。


もうなんか、さっきまで彼女の立場で物事を捉えてた自分がバカみたく思えた。というかバカだ。一番で一人じゃなきゃ嫌、なんて思って、二号がいる事に嫉妬までしたりして。

だけど現実は私もその二号の一人。

しかも始めから。失望したとか言って、そんなの彼女じゃ無かったら何にも意味が無い。あんなに色々葛藤して向き合ってここまで来たっていうのに、蓋を開けたら始めから何も変わってない、始めこそ正しかったその考え方。


「あはは…笑える」


笑うしかない。なんてバカなんだ私は、なんて愚かなんだ。何に対しても不安になって心配して疑って、でも拓也君だから、拓也君の事だからこんな私でも受け入れられて…そうやって少しずつでも前へ進んできたと思った私達の関係は、本当は何一つ変わったところが無かった。

答えは一番最初に出ていた。どうせ今日来ないのだって、私にはずっと居ないって言ってきた他の女の人に会ってるからだ。あぁそれかもしかしたら、今日あの子がすぐに連絡でもして拓也君に私が二号の事を知ったのがバレたのかもしれない。だからとりあえず時間空けようとしたのかも。そしたら私が前みたいにまた連絡してくるかも、とか思ったのかも。

< 155 / 202 >

この作品をシェア

pagetop