201号室の、オオカミくん☆



「……うわ。遅くなった」


菓子折に悩んだが、私の明太子やおつまみの詰め合わせは却下され、光のアドバイスの花型のクッキーになった。

籠に入った花型クッキーの詰め合わせは、まるで私を赤ずきんのような気分にさせる。



家に帰って荷物を持って、菓子折買って、自転車を買ったらこんなに遅くなってしまった。


寄り道なんかしなきゃ良かった。


駅の裏から私の住む予定の『花忘荘』に行くには小さな小道を行かなきゃいけない。


なのに光の話を思い出すと背中がぞくりとしてきた。



『駅から女の子が一人で帰ると、家まで足音が着いてくるらしいよ』



足音……?



『ある時は下駄の足音。ある時は革靴。またある時は2つの別々の足音。
振り返っても誰も居ないけど、立ち止まったら肩を叩かれるって』



はは。肩ぐらいなら問題ないけどね。

でも。





タッ





足音がするんですけどー!!!
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