201号室の、オオカミくん☆


私は、……少しだけお姫様になれた。

王子様を追いかけたけど捕まらなかったのに、お城に連れて帰ってくれる優しい葵に満たされたから。


「居た」


階段の一番上に、岳理さんが居た。

丁度、一歩降りた瞬間だったらしい。

私は泣いていた顔をごしごし拭いて、ゆっくりと葵から下ろして貰った。


「俺に話があるって聞いてたんだけど?」


Tシャツをバサバサとしながら、首を傾げる。

汗だくで顎に伝う汗を拭きながら近づいてくる。

こんな忙しい時に私を探してくれたんだ。

私は葵の服の裾を握り締めながら、大きく息を吸い込む。


「上から力で押さえつけてませんか?

文句言えないように力で捩じ伏せて、分家と本家の問題を解決させたんだとうやむやにしてませんか?」
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