倦怠期です!
「なんでそう言いきれるの?」
「私、有澤さんに会ったことはないけど。でもすずちゃんは、因幡さんのこと以上に、有澤さんのことを話してくれてたでしょ?」
「・・・え?あ・・そぉ?」と自信なさげに聞く私に、コバちゃんは力強くウンウンと頷いた。

「で、すずちゃんから話聞いてた限り、ははぁん、有澤さんってすずちゃんのこと好きなんだなぁって・・・」
「えっ!?な、なんでそんな・・・分かる、の」
「いやぁ。好きだから、周りが気づかないようなすずちゃんのあれこれを、有澤さんは察知してるわけよ。だからホント、“やっと”すずちゃんたちくっついたー!って、もうバンザイ三唱したいくらい。たぶん、有澤さんもそれくらいホッとしてるんじゃないかな」
「・・・気づいてないのは本人だけとか、鈍感って言われた」
「ブッ。そ・・だろうねぇ」とコバちゃんは言いながら、かなりウケている。

まあでも、コバちゃんまで有澤さんが私のこと好きって知ってたのは・・・やっぱり私、有澤さんの言うとおり、鈍感なのかな。

「私、誰かとつき合うとか初めてで、何にも知らなくて・・・。だから有澤さんは、私と一緒にいて楽しいかな、退屈じゃないかな、とかいろいろ考えちゃって・・・」
「ねえ、すずちゃん」
「ん?」
「有澤さんのこと、好き?」
「・・・分かんない。有澤さんのことは、今までずっと、仲のいい同期で、ちょっとした友だちみたいな、お兄ちゃんみたいに思ってて・・・急に関係が変わって、どうふるまっていいのか、分かんない」

心の内を話す私に、コバちゃんはウンウンと頷きながら聞いてくれている。

「今まで仲良かった友だちから、彼とカノジョの関係になったからって、すずちゃん自身を変える必要はないんじゃない?」
「と、言いますと」
「今までどおり仲良くして、後は自分の気持ちをちゃんと伝えること。もし有澤さんのことが好きなら、好きって言うの」
「なるほど・・」
「“好き”と言っても、いろんな種類の“好き”があると思うのね。うまく言えないんだけど、友だち的な“好き”とか、彼氏として“好き”とか。とにかく、有澤さんとどういう関係を創っていきたいのか、そこはすずちゃんの中でハッキリさせて、有澤さんにキチンと伝える。恋人同士でも夫婦でも、友だちでも、相手と一緒に関係を創っていくものでしょ?」
「そうだね」
「たぶん、有澤さんもさ、すずちゃんがどう思ってるのか、気になってると思うよ。言わなきゃ分かんないことってあるじゃん」

・・・たとえば、私が初めてだったこと、とか。
有澤さんに言わなくても、私のふるまい見れば分かるだろうと思ってたけど・・・有澤さんは分かってなかった。

「恋愛に初心者や経験値とか、そういうのってあんまり関係ないと、私は思ってる。要は、相手をどれだけ好きで、この人とどういう関係でいたいか。相手の良いところも嫌なところも全部受け入れた上で、相手にも自分の良いところと嫌なところを知ってもらって、受け入れてもらうかって。そういうもんじゃないかな」

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