full of love~わが君の声、君の影~

夜になりさくらが寝るとようやく俺は今日子さんに話しかけることが出来た

家へ着いたあたりからいつの間にか後ろにいた
背後霊かよっ
言いたいことはたくさんあったがさくらがいたのでガマンしていた

「どこへ行ってたの?」
『ん?』
「ど・こ・へ・行ってた?」
『・・えっと・・学校へ行く途中で“イケメン”に会っちゃって~つい・・』
「つい?」
『あはは』
ウソくさい
リビングの中をふわりふわりと歩きまわる

『ケガたいしたことなくて良かったねえ~あの男の子すっかりさくらの天敵になっちゃったわねえ』
「ごまかすな!」
俺は今日子さんをつかまえようとするが
今日子さんはすり抜ける
当たり前か;
「たく!こんな大事な時に!何でいないんだよ!」
『元々私はいないよ?』
「!」
一瞬沈黙が流れる
「わかってるよ・・わかってるけどさあ・・」
何も今言わなくたって・・

『さくらが言ったことだいだい合ってるよ。学校の近くの公園で同じクラスの女の子たちが話してた』
「え?もしかして調べてたの?」
『・・・まあね』
「それでいなかったの?それならそうと・・ごめん・・怒ったりして」
『・・ううん・・こっちこそ茶化してゴメンね』
何故か目線を反らす
まだ何か隠してる?

『さくら良い子だね』
「は?」
『おとうさん大好きな良い子だね、そんな風に育ててくれてありがとう』
ふわりと笑う

ズルイ
俺はこの笑顔に弱い

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