full of love~わが君の声、君の影~

「ただいま」
今日子さんの隣に座る
――『うわーお酒臭い』
以前ならそう言われるところだが
幽霊は臭いも感じないらしい

『あ、あと10秒・・・・5,4,3,2・・』
今日子さんがカウントダウンをしてくれる
『晴喜くん誕生日おめでとう!』
にっこり笑顔をくれる
「ありがとう」
俺も笑顔を返す
『こんなでいいの?いつもみたいにうちに皆呼んで騒げばいいのに』
「いいの」
『いくつになった?』
「41」
『わあ5歳差だね』
そうか・・いつか越してしまう時がくるのか


歳の差なんて気にならないくらい
2人ともクシャクシャになってシワシワになっても
それでも
手をつないでいられると

そうしていられると
信じていた


何となく2人とも黙りこむ



俺は意を決して立ち上がり彼女に手を差し伸べる
「上に行こう」
『え?う、うん』
首をかしげながら今日子さんは俺の手を握る

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