full of love~わが君の声、君の影~

信号が青になり自転車のペダルを踏み込んだ。
その人影から目をはずせないままその横をゆっくり通り過ぎた。
「うっ」
わずかだがうめき声のようなものを聞いた気がした。
1度は通り過ぎたものの気になる。

私は自転車を降りると歩道わきに停め
その人影を伺うようにゆっくりと近づいた。
黒っぽいキャップの下から金髪とピアスが見える。若い男の人のようだ。
(ヤンキー?)
ちょっと怖いかも・・

「くう・・」
また聞こえた。苦しそうだ。
両腕でお腹を抱えるようにしてうずくまっている。
学生の頃のあの日の自分と重なる。

「大丈夫ですか?」
意を決して訪ねてみる。
聞こえなかったのか?反応がないのでもう1度声量をあげてみる。

「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
やっと顔をあげてくれた。
苦痛に顔がゆがんでいる。
薄暗くてよく見えないが顔色も悪そうだ。

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