ブランコ。
最初、リエの家まで車で着いて行き、そこからリエを拾おうかと思ったのだが、一度帰ると母親への説明が、いろいろと面倒くさいとリエが言うので、そのまま僕の車で移動した。

車を運転しながら、僕は先日の件を切り出した。

「歯ブラシの件の前に、山岸のことだけどさ」

リエの表情が硬くなるのがわかった。

やめたほうがいいのだろうか? 

だけど、それじゃあいつまでも問題は解決しない。

でも、リエが話したくないのなら、無理強いはしないでおこうと思っていた。



僕はリエにその判断を任せ、前方を見つめたまま車を走らせる。

対向車の数台は車幅灯をつけ始めた。

そういえば、少し外は薄暗くなりかけている。

僕も車幅灯のスイッチを操作した。
< 110 / 260 >

この作品をシェア

pagetop