ブランコ。
僕は車を森林公園に止めた。

これじゃあますます『お忍びデート』だ。

見つかれば弁解のしようがない。

でも、運転しながらでは真剣に聞けないし、なによりタバコが吸いたかった。

そんな気分だった。



「わたしはそんなことくらいじゃ滅入るような女じゃないって思ってた。
だけど、あれね、体に触れられたりするかと思うと、体のほうが先に拒絶反応を起すのね」

リエは森林公園内の小川に設置してある、飛び石を渡りながら話を続ける。

ぼんやりとした街灯の下、リエの白い顔だけが浮んでいるように見えた。

僕はタバコを吸いながら、対岸には渡らず川辺のコンクリートの上に胡座をかいて座った。

日中の日差しに温められたコンクリートは、ジーンズ越しでも暖かかった。

リエも僕に向かい合う形で膝を揃え、足先を少し開いて漢字の「八」のような格好で手は後ろについて座った。

赤いタータンチェックのプリーツスカートに白いブラウス。

クツは暗くてわからない。

ローファーだろうか?

リエの格好は、お嬢様学校の制服みたいだった。

そして、細身のリエにはすごく似合っていた。
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