ブランコ。
先輩は椅子を引き寄せると、僕の机の上に雑誌を広げる。

「あれ? あれ?」

どうやら目当てのページが見つからないらしい。

後で不機嫌な顔をして、腕を組んで僕らを見下ろしていた美穂さんが、

「千秋。さっき、ページの端、折ったでしょ?」

と、少しイライラした声で教える。

「あっ!そっか〜、忘れてた〜」

笑いながら、小さなピンク色の舌を出す。

もう一世代前のアイドル達でさえしないような仕草だが、不思議と先輩がすると似合ってたし、嫌らしくなかった。

「ココ、ココ!見て、見てぇ〜」

花火大会か。

マズい。

僕は人込みが苦手だ。
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