ブランコ。
先輩の方を見る。

先輩はまだニコニコと笑っている。

だけど、次の瞬間、そのニコニコ笑顔のまま、目から涙を、それこそポロポロと音がしてもおかしくないような勢いで流した。

「ほら」

美穂さんがハンカチを差し出す。

先輩はそれで目を覆うと、今度は子供のように泣き出した。

「ひ〜ん」

フロアに残っていた人が驚いたような顔でこちらを見る。

いや、お前らより僕の方が驚いている。
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