ブランコ。
僕は地元に帰る車の中で考える。


リエも花火大会に行く。


それは山岸の申し入れを受け入れたということだろうか? 


たしかに歯ブラシの一件が僕らの誤解で、その疑いが晴れた今、山岸を気持ち悪がるということも、恐怖を感じるということも、そういう感情がリエの中から消えたとしてもおかしくはない。





たった五分だけだったのにリエは会ってくれなかった。


会わないということは、リエの怒りはかなりのものなのだろう。


そういえば、僕がしたことでリエが怒ったのを見たことがない。


このことが取り返しのつかないことでなければいいのだが。


人から見れば大したことのないような一事も、それが本人の信念や大事にしているものであった場合、人との関係というものは意外に簡単に壊れてしまう。
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