ブランコ。

リエはブラウスの下のTシャツの胸元を引っ張り、「暑い! 暑い!」と呟きながら、クーラーの風を入れている。

僕はそちらの方を見ないようにしながら(それでも気にはなっていた)、今日のリエの態度がいつになく大人しくて、それが気になっていた。



なんとなく居心地が悪くなった僕は、リエに一声かけ、車を降りてタバコに火を点けた。

タバコの自動販売機に貼られたポスターを見る振りをしながら、コンビニのガラスに映った、リエの顔を盗み見る。

その表情はボーッとして(それは惚れ惚れ見るという意味ではなくて)焦点の合ってないような顔で僕の背中を見つめていた。

僕はタバコの吸殻を灰皿に捨て、リエに気づかれないように、そっとため息をついた。

これから展開される出来事がため息ひとつ分の厄介ごとでありますようにと願いを込めて。
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