ブランコ。
いつも、その後姿ばかり見ていた。


黒い髪で隠れているからわからないけど、白く細いうなじ。


屈むと肩甲骨が浮き出るほどほっそりとした上半身と、少しだけぽっちゃりした下半身。
不思議と性的な欲求は湧かなかった。


むしろ、お尻を突き出すように屈まれると、その浮き出たラインから目を逸らしていた。


光の無いところでも、産毛の一本一本が光の粒子を纏ったように輝き、本当に綺麗な人だった。


僕は後姿だけでも十分だった。


いつからだろう?


いつから僕の記憶には先輩の顔が現れ始めたんだろう?
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