Christmas Eve
「そう……よければ東京タワーの展望台で、一緒に夜景を」

俺は彼女を誘った。



「タイムリミットは、……21時30分ね。仕事が終わりしだい」



束の間の会話だった。

が、彼女との約束に、俺の胸は高鳴っている。



「ねえ~。うちのお局様と同期入社で大和商事の葦原さん、社長秘書になったんですッて」


「Ms.ビジネススーツ、さすがね」


「凄いわね。うちのお局様とは格が違うわね」


「でも………毎日、残業続き。あれでは合コンもできないし、アフター7もないでしょうね」


春の人事異動の後。
くだらない女性達の噂話を、俺は奥歯を噛みしめ聞いていた。


俺は彼女を颯爽としていてカッコイイと思いながら、数年前からずっと遠目で見守っている。

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