黒色女子を個人授業
「言っておくが、俺はお前のように、天野を特別扱いしたりしないからな? ビシバシ鍛えるぞ?」

大城はなんのことを言われているのかわからないという風にキョトンとしながらも頷いた。

「それでいいです。そもそも僕だって、特別扱いなんてしてませんから」

「お前、それ本気で言ってんのか?」

「もちろん。……何か?」

今井は言っても無駄と悟ったのか、反論せずにタバコを吹かす。


「そもそも、なんでそんなに天野を育てようとしてたんだ?」

今井はかねてよりの疑問をぶつけてみた。

「前に説明したじゃありませんか。上の都合とかオトナの事情がいろいろあって……」

「それは聞いたが、天野を選んだのはお前だろう。
どうしてあいつにしたんだ」


深く掘り下げようとすると、触れられたくなかったのか、大城は浮かない顔でそっぽを向いた。

「……信頼できそうでしたし、責任感ありましたし、仕事もまあ普通にこなせてますし……
それに――」

ぽつりぽつりと低いトーンで彼女の長所を羅列する大城。あるいは照れていたのかもしれない。

「不器用だけど頑張っているところが、放って置けなかったというか」


そう告げて、くゆるタバコの煙を見つめた。
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