黒色女子を個人授業
翌日。

午前中にはクライアント先での作業を終えて、少し早めに東京へ帰ることとなった。

3人で帰りの新幹線の列に並んでいると

「ちょっとタバコ」そう言って今井さんが列を抜けた。

残された私と滝川くんは、荷物を地面に下ろして列車と彼を待つ。


「花山さん、昨日の夜、今井さんと一緒にいたんですよね」

滝川くんが静かに呟いた。


あ、やっぱり気づいてる。


彼は淡々と語った。

「今井さんの部屋にいってもいなかったので」


「ごめん」

私は謝った。が、こんな上っ面な謝罪、誰も信じやしないだろう。


すると、滝川くんは思いのほかすんなりと頷いて、少し悲しそうな瞳で笑った。

「いえ。僕じゃ駄目なんだってことが、よく分かりました」

しおらしい彼は初めてだ。思わず不安になる。
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