黒色女子を個人授業
「天野さんは仕事の比重が大き過ぎるんじゃない?」

大城さんがさり気なく話を切り出した。


ビールのグラスを傾けながら彼は言う。

「無我夢中で頑張ったからって、結果がついてくるものではないよ」


珍しく真面目そうなことを言うもんだから、思わず警戒してしまった。

「どうしてそんな話を私に?」

私が身構えると、彼はそんな私をじっと見つめたあと、目を閉じた。

「君が思い詰めてるように見えたから」


私は頬がかぁっと熱くなる。

昨日の私の涙は、彼にはそう映っていたのか。


「忙しい仕事だし、君が真面目で頑張ってるのもわかってる。
上の立場としてはありがたいし、喜ばしい限りだけどーー」

彼はビールのグラスをコトリと置いた。

「個人としては、もっといろいろ楽しんでみて欲しいとも思ってる」

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