彼に殺されたあたしの体
土臭いにおいが嫌だな……。


そう思った時、彼の顔が穴の中を覗き込んできた。


彼は肩で呼吸をしていて、少し青い顔をしている。


手にはこの穴を掘った時のスコップが握られているようだ。


開けた穴は、塞がなきゃいけない。


彼は少しの間あたしと見つめあってから、体勢を直してスコップを構えた。


ザクッと土をすくう音がして、次の瞬間それはあたしの上へと落とされた。


半分開いたままになっていた口に土が入り込む。


それはザラザラとした嫌な感覚だった。


今すぐ吐き出したい衝動にかられる。


だけど力の抜けたあたしは、土が喉を通ることを安易に許してしまった。
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