彼に殺されたあたしの体
ズキリ。


胸にトゲが刺さる。


イジメられていることは自覚している。


でも、それを真正面から他人に言われると嫌でも胸が痛んだ。


あたしはグッと下唇を噛みしめて神田君を睨みつけた。


その目にはジワリと涙が浮かび、神田君の顔が歪んで映っていた。


「1人で我慢せずに、ちょっとは他人に頼ればいいんだぞ」


さっきまで怒ったような顔をしていた神田君が、ふいに表情を和らげた。


そして開いている方の手であたしの頭を撫でる。


それはまるで幼い子にするような撫でかたで、すこし恥ずかしさを感じた。


「ほら、行くぞ」


あたしは神田君に強引に引っ張られるようにして、再び靴を探し始めたのだった。
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