彼に殺されたあたしの体
けれど、神田君は翌日からパッタリと学校に来なくなった。


担任の先生の話だと、1人でこっそりと転校して行ったのだ。


翌日になってからその事をしったあたしは、愕然としてしまった。


あれほど優しくしてくれて、最後の最後まであたしを心配してくれていた神田君。


女子に人気があって、彼女の好きな人で。


そんな神田君は、もうここにいないのだ。


みんなに悲しまれるのが嫌で、笑顔でいつも通りのお別れをするために黙っていたのだそうだ。


そんな話を聞いた後、あたしは昨日の出来事を思い出した。


放課後、遅くまで職員室に残っていた神田君。


その時きっと、先生たちにもお別れの挨拶をしていたのだろう。


どうしてあたしは『職員室で何を話していたの?』と、聞かなかったのだろう。


もし、あの時そう質問をしていれば。


神田君は転校することを、あたしに話してくれたかもしれない。


そうすればお見送りに行く事だって、お礼を伝える事だってできたのに。


そう思うと、悔しかった。
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