彼に殺されたあたしの体
あたしはこの手で38人を殺した。


それなのに罪悪感はどこにもない。


生きていた時の感情が失われてしまったように感じる。


「みあお姉ちゃん、思い出した?」


土の上から睦人君の声が聞こえて来て、あたしはなんとか嘔吐感を押し込めることができた。


(……思い出したわ)


あたしはゆっくりとそう言った。


あたしが、殺した。


38人をあの場所で殺したあと、あたしはすぐに先生の元へ向かったんだ。


ここで言う先生はもちろん、藤木先生のことだ。


38人も殺しておいて、あたしの心は心地よい朝のように晴れやかだった。


すごくスッキリしていて気持ちが良かった。


あぁそうか。


恨んでいる人間がこの世から消えると、こんなにも心は軽くなるんだ。
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