彼に殺されたあたしの体
今となっては土の中の生き物にもなれてしまって、意識しなくなってしまったけれど。


モグラはあたしの骨の上を歩き、時々何かを見つけては立ち止まった。


一体何をしているんだろう?


なにか虫でも食べているのか、その姿は熱心に何かをついばんでいて、あたしはほほえましく感じた。


もうすぐここに家族が増えるよ。


あたしとお前たちしかいなかったけれど、家が建って子供が生まれるんだよ。


そうしたら、きっとすごくにぎやかになる。


家庭菜園でも初めてくれれば、お前にとって嬉しいだろうね。


そんな事をモグラに向かって話しかける。


モグラはあたしの声が聞こえたかのように一旦あたしの顔を見て、そして去って行ってしまった。


あたしはモグラがいなくなった場所を見つめる。


もうすぐあの夫婦が帰ってくる。


赤ちゃんを連れて、帰ってくる。
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