彼に殺されたあたしの体
☆☆☆

それから数年後。


睦人は1人産婦人科の前にいた。


見る事が出来る少年は、成長した今でも見る事ができていた。


そして、《それ》が来る時が見えるようにもなっていた。


少年は自分の能力を恨めしく思った時もあったけれど、理解のある人間たちと一緒に修業を行う事に決めていた。


死人が呪うだけで何十人の人間が死ぬ。


それはあってはいけない事だ。


人間が人間を1人殺せば罪になるのだから、死人にも同じように罰を与え、そして呪いを制御していく必要がある。


じゃないと、この世は死者によって支配されてしまうだろう。


睦人が入口を見つめながら立っていると、ある夫婦が赤ちゃんを連れて出てきた。


赤ちゃんは元気いっぱいに泣いている。


「ほら、みあ。泣かないで」


母親が優しい笑顔で子供を見つめている。
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