彼に殺されたあたしの体
それにしても、台風の雨はいつまで降り続けるのだろう?


耳を澄ませば豪雨とも呼べるような音が聞こえてくる。


土の中でここまで大きな音なのだから、地上ではもっと激しいに決まっている。


ふと、両親の事が気になった。


この台風に加え、娘が帰ってこないとなれば心配しているだろう。


もしかしたらもう警察にあたしの事を通報しているかもしれない。


そうだったらいいな。


土の中は暗くて重たくて、怖くて不安で、すごく嫌だ。


早く見つけてほしいな。


台風が過ぎればきっと見つけてくれる。


天気がよくなってみんなが動き出せば、きっとここから出してもらえる。


あたしはそう信じて、雨音が遠ざかるのを待ったのだった。
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