3年越しの片想い。

「…ん」

男の子は私にがっちり視線をあわせたまま短い短い返事を返してくれた。


私の目をしっかり捉えている、男の子。

男の子が苦手な私がなぜか目を逸らさずにいれる、男の子。

なぜだか私の記憶の奥の奥に隠れているような気がする見覚えのある、男の子。


「あ、の…お名前は…？」

つい口走ってしまった。

どうして、この男の前だとこんなにも自然に言葉がでてくるのだろう。

「…伊吹 涼介(いぶき りょうすけ)」

「私は、百瀬 ほのか(ももせ ほのか)…です…」


恋とか友情とかそんなものじゃなくて。


ただただ、見覚えのある男の子。


「…ほのか」


「は、はいぃっ！」


「俺に、会ったことは」


「ない、と思われます…たぶん…」

たぶん。


本当に、たぶん。