偽フィアンセは次期社長!?
「見ます?ほらこれ」


月菜ちゃんが、激しくデコったスマホを取り出し、ディスプレイを指差してあたしに見せてくる。


どれどれ……。


月菜ちゃんの、桜色のジェルネイルが指しているところには


『…………とか、色々あるけど。

あたし、瑠奈ちゃんが大好きだよ。』


……瑠奈ちゃん。だぁれ、それ?


「あたしの変なフルネームについてトークしてるわけだから、ルナ、がこの漢字だったら普通の名前になっちゃうわけで、全く意図するものが分からないと言うか……」


小論文の先生に怒られているみたい。


「ほ、ほんとだ……」


「ま、いいんですけど。面白かったです。あたし、引かれたかなーとか、緊張してたんで」


「……引くわけないじゃん!!」


あたし達は、ダサい制服を着た学生のように、にぃーっと笑い合い、仕事をし始めた。
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