選択恋愛
"本谷君が好き"

その単語が頭から離れていかない。

でも、この好きという感情が本物なのかもわからない。

何故なら、つい先日まで私には別に好きな人が居たから。

本谷君とは全く真逆の大人の人。

でも結局、その人の事は諦める事にした。
その人は私に色んな嘘をついた。
私は凄くそれに傷付いて、泣いて、泣いて、泣きじゃくった。

だからかも知れない。

そんな不安定で、ズタズタになった私の心に本谷君がスッと入り込んだのかも知れない。

「でも、こんなうじうじしてられない!」

私は思い切って、本谷君に聞く事にした。

"そういやさ、本谷君って彼女居たんだ!?"

そう、プリクラに一緒に映ってる可愛らしい女の子の事。

ーピロロリン♪ー

"そうだよ!"

「やっぱり居たんだ……。」

ショックだった。

確信していたのに心が痛んだ。

"いいなー。めっちゃ羨ましいよ!"

傷付きながらも何事も無かったかの様に返信をする。

「今のうち……惨めだよね。」

前好きだった人に嘘をつかれて泣いて以来、私は狂ったかの様に中身が変わってしまったらしい。

周りに居る人達に相当心配される。

「……惨め過ぎる。」

そんな中でも本谷君との会話は進んでいく。

……が。

ある一言で私の指は一瞬止まってしまった。

"彼氏作った方がいいよー!"

「彼氏………ね…。」

"うち2年間彼氏居ないからなー。もう独りで生きていく気がする。"

"ダメだよ!"

"え、ダメなの!?"

"絶対ダメ!!"

どうしてそこまでして駄目だと言い張るのか。

"じゃあ愛犬とでいいか!"

"ダメ!"

ーードキッーー

ほんの少し鼓動が鳴る。

そんなに彼氏作らないの否定しないでよ……。
じゃないと………

「変に期待しちゃうじゃん……。」

私の心は複雑な気持ちと、本谷君への淡い感情で満たされていた。

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