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「この先に何があるのかは分からないが、このままここにいるわけにはいかないだろう。俺は行くぞ」


 筋肉質の男がそう言うや否や、先が見えない廊下に向かって歩を進めた。


「……見ろ、何も無いじゃないか。お前たちはどうするんだ?ここに残るのか?俺と一緒に先に進むのか?」


 すると、この場にいる半数が「先に進む」と口を開いた。その中には大人しそうな少女や、露出度の高い服を着た女性もいる。

 その他の半数は、「この場に残る」と口を開いた。その中には苛立っている様子のギャル男がいる。

 どうして残るのかと筋肉質な男が問えば、「下手に動くより、この場に残る方が安全」……だそうだ。

 先に進む方が安全だなんて言い切れない以上、この場に残ると言った人達を咎める者は誰もいない。


「お前はどうするんだ?」


 筋肉質な男は俺を見て問うたので、俺は迷わずうなずいた。「俺も先に進む」と。


 無機質な声は言ったんだ。「ゴールを目指して、がんばって最後まで生き延びてください」と。少なくとも、この場に残るよりかはいい選択だと思うのだが。

 “生き延びてください”っていうのは……いや、深くは考えないようにしよう。悪い方にばかり考えていたって、気分が落ちていくだけだ。

 こうして、半数は目覚めた最初の部屋に残ることになり、その他の俺を含む半数は、先に進むことになった。
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