私が愛したのは最低な人間でした

無口な同級生


「凜、おはよー!」



『おはよう!琉希くん』





琉希くんが転校してきて一週間が経った。



琉希くんはすぐにクラスのみんなと打ち解けて、今ではすっかりクラスの中心人物で、この学園になくてはならない存在に。





明るい性格だから、琉希くんの周りには自然と人が集まってくるんだ。





そのなかで、琉希くんは私にも毎日のように声をかけてくれる。



朝、先に登校してきている私に寄って来ておはようと言ってくれる。



帰りも何故か男の子とではなく、私を誘ってくれる。



拒む理由のない私は、それを毎日受け入れて一緒に帰っていた。





そのせいで、私が女の子達にあまりよく思われてないのは気付いたけど、気にしないことにした。





「俺さ、部活やろうと思うんだよね」





仁香がまだ来ていないから、自分の席でケータイをいじっていると琉希くんが私の前の席に後ろ向きで座ってきた。



そして、私の机に頬杖を付く。





『部活?』





私は顔を上げて、異常に整った琉希くんの顔を見つめる。





「ん。中学の時にバスケやってたから、入ってみよっかなーって検討中」



『バスケかぁ。身長高いもんね』



「まぁね」





バスケは琉希くんに似合いそうなスポーツだ。



体育の授業で琉希くんの運動神経の良さは確認済みだし。





一学期は六月に体育祭があるから、それに向けて男女混合で走る練習をしている。



琉希くんはクラスの中で、ダントツで百メートルのタイムがよかったんだよね。



すでに、全員リレーはアンカーだって話も出ている。


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