believe






ーーガラガラガラ






少し大きめのサビたドアが、私を追い込むように大きな音を立てて開いた









ーーコツン






コンクリートで出来た倉庫の中にローファーの音が響く












「....あ?だれだ」







足音に気づいた1人の男が遠目から私に目線をやる



中は暗いから、私のことは逆光で見えてないはずだけど









「えーなになに。おチビちゃんが俺らに何の用〜?」







バカにする男に加え周りも冷やかすように笑いを立てる










ーー コツン コツン






絶えず歩みを止めない私





頭を軽くあげ、前髪とフードの間から奴らを見れば








この大きな倉庫のど真ん中に













血だらけになった美しい顔の口角を上げ









ぐったり倒れながらも私の瞳をつかんで離さない








蓮の姿があった。














よかった....




心の中で一息をつく。

















「おい、それ以上来たらテメぇぶっ殺すぞ」







歩みをやめない私に男は怒ったように声を出す









フツフツとこみ上げる怒り













「おとか....それ以上は....くんな。」











ーーピタ




初めて私の歩みが止まる















「は?なに。もしかしてこのチビ蓮のお仲間?






フッ...笑わせるぜ。

こんな奴で俺らを倒せると思われてるなんて心外だな〜....。」






ーーバキッ




「グッ......っ......。」






「蓮っ!!!」









私は周りのことなど忘れ殴られた蓮の元へと走る









ーーバシッ







あと数センチ





あと数センチあるかないかの距離で






私は蓮を取り囲む男たちに手を取られた















「...離せよ....」





とてつもなく低い声で脅すように言った私








蓮の目が少し見開いた気がした。











「フッ.....おまえ、俺らに勝てるとでも思ってんのか?!あぁ!?」






にぎる手を強め、いかにもはち切れそうなこの冷静ぶってる男





本当に吐き気がする













こんなことしてるこいつらも、







こんなことしてる奴らに


かまってる私も。








「 黙れ 」














そう言った途端、私は男たちに喧嘩をふっかけた







ーーーー ガッシャーン





「グホっ.....てめぇ、こらぁぁぁあ!!!」




目の前の男を顔面一発、力の強さを彼の顔の形が物語っている。






「うるせぇ。だまれっ...」







押されられない衝動。

ーーーバキッ





「あぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」





折れた骨の音とともに、何人か目の男のうめき声が聞こえる







「てっめぇ!!!!コラァァァ!」






声とともに後ろをむけば、武器を持って走ってくる男









私は振りかざされた金属バットを、片手で押さえ



こちらに引っ張る




そんなことしたら
他の仲間にぶつかり、自滅。





「....つまんねぇなぁ...。」








ーーグシャッ








「グ.....ッハ.........や、やめて....くれ...。」








倒れた男の頭をギリギリと踏み潰しながら、だんだんと力を強めていく













「おいっ!!!どうした!?」








焦る声を必死に押さえ後ろのドアから出てきたこいつらの仲間と思われる奴ら














「こっこいつがっ....全部...」





怪物でも見るような目で血の海とかした場所からこちらに視線を向ける










その目、





慣れてるはずなのに。










どうして私は、悲しくなっているのだろうか。














そんな思いをかき消すように







踏み潰す力をさらに強め






「ぐぁぁぁぁぁあ!!!!!」






叫ぶ男の声など無視して





私は言葉を放つ













「全員.....





地獄につきおとす。」











不敵な笑みを浮かべながら。




















< 52 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop