レオニスの泪
ー僕は大切な人に、笑っていて欲しくて、先生になりました。


ー僕の大切な人はーもう、居ない



「先生の、大切な人は、どうしていないんですか?どうして、先生を一人にしてるの?」


平常時の私であれば、これ以上踏み込んではいけない領域だと気付いたのかも知れない。


ー君も、持ってるんだ。それを。



ー僕も、持ってる。



だけどそれよりも心が素直になりすぎて。


「先生の、虚像の柱は、何なんですか?」



以前、診察で彼が未婚なのではと問い詰めた時よりも。

あの時の尖った気持ちよりも、なだらかになった心で。


時折ちらつく、彼の持つ「何か」、彼の持つ痛みを知りたい、分かりたいと思った。





「先生は、誰を待ってるんですか?」



< 223 / 533 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop