レオニスの泪
















「職場に行くと、具合が悪くなるんです。」



朝一番の患者は、40前の男性だった。

髪は短く刈り上げていて、背はそこまで高くないが、横幅は若干太い。




「そうですか。例えばどういった症状がありますか。」


利き手が左の自分にとって、こういった作り付けの机は使い難い。

患者と話す為には、完全に体を机から離さないといけないが、メモに書き込む為には、その机に完全に戻らないといけない。

左側にあれば、片手でメモを取りながら話すという事が出来るのに、不便で仕方ない。


まぁ、右利き社会である訳だから、こういう不便さには慣れたといえば慣れたが。


「身体が震え…ったりー暑くもない、ないのに汗が出てきたり、呼吸も浅くなって、何をすれば良い、良いのか、わからなくなってしまうんです。」


男性はその時の状況を思い浮かべているのだろう。言葉運びが辿々しくなっていく。




「それは、辛いですね。そういった症状が出始めたのは、いつ頃か思い出せますか。」





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