レオニスの泪


全国展開しているチェーン店の居酒屋は、駅近な事もあって学生御用達となっていた。

午後8時少し前。


「一杯飲んだら帰るから。」


僕は、部長ーつまり、岩崎 央(イワサキ ヒロ)に大学を出たところで拉致られ、渋々暖簾をくぐる。

「わかったって。まぁ、夕飯代わりだと思ってほら。」

岩崎と飲む酒は悪くない。お互い知った仲だし、昔話に花も咲く。だがそれは、二人で、という前提の話であって、知らない人間も一緒となると大分違ってくる。


「なんか、最初は20人位の参加だって思ってたんだけど、直前になって知らされてない奴とか多いって事に気づいて。ま、こっちの手違いってやつ?で、中止にしようかと思ったんだけど、いる奴だけでやろうって話になって、結局参加者がー」


釈明しながら座敷に案内した岩崎は、下りていた簾を手で避けて、僕に中が見えるようにした。


「お前も含めて6名」



パッと見えたのは、大学で岩崎とよくいる男1人と、女が3人。


頭数が足りないってそういうことだったのか。


要は、一杯だけ飲んで帰れる雰囲気ではない、という事だ。

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