レオニスの泪

何が辛いのかは、自分でもよくわからない。


だから、余計に怖い。




「貴方に…、何が分かるって言うんですか。」






はっきりさせるのが、果たして正解なのか。


ぎりぎりで、踏ん張るのが、正解なのか。





「それ、こないだも言ってたね。僕ってそんなに頼り甲斐ないかなぁ。」



神成は、残念そうに眉を下げてみせるが、がっかりしているようにはこれっぽっちも見えない。



「だって、人生経験少なさそう…」



「ははっ、そう思われちゃったら、仕方ないね。でも」



回転椅子をくるくると左右に振りながら今度は笑う。




「一応僕は医者だから。君の呼吸が楽になる方法は知ってる。」





余裕綽々に目を細める神成との距離を。





「もし、楽にならなかったら、詐欺で訴えますよ。」






私は、ゆっくりと縮め。




「受けて立とう」




患者の為に用意された椅子に、漸く腰を下ろした。
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