レオニスの泪

「さて、と。この話はこれでおしまいにして。前回の続きから話を聞こうかな。」



キィと神成の座っている椅子が軋む音がする。



「お休みの日は何をして居るの?」



「ーこうして病院にかかっています。」



「…それは知ってるよ。他には?いつがお休みなのかな?」


私の冗談をかわして、神成が再び訊ねた。


「週休二日で、日曜が、毎回お休みですけど、あとは平日のどこかです。」



怒っているような感じは受けられず、どちらかといえば、面白がっているように見える。



「その日は何をして過ごしてる?」


まだ会ったばかりだけれど、神成が怒る、なんてことがあるのだろうか。

想像できない。


いや、出来る。


昨晩のが彼で無いにしろ、声は確実に彼のものと似ていたからだ。

だからきっと、怒る際には、ああいう風に、冷ややかに…


童顔だからこそ、一気に熱が引いたような神成の表情は、一切の言い訳を遮断するかのような威力を持ちそうだ。


もしかすると、笑いながら怒る可能性もあるかもしれない。




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