バレない嘘をついてよ。


「……お兄ちゃん」



はっ!

私はいつの間に、
寝てしまったんだろう?

……涙が出ている。
泣いたのか、私は……。



お兄ちゃんとか懐かしい。
いつだったかな、悠人って呼ぶようになったのは。



……あの夢。
久しぶりだな。

今になっては怖くないけど、
あの時は本当に怖かった。



「梓、ごはん出来たよ」



悠人は私の部屋のドアをノックし、言った。



「うん、今行く」



涙を拭き取り、
私はリビングに向かった。

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