【完】向こう側の白鳥。








side 白鳥柚子





沢渡先輩との話を終えた私は、一時間目の授業をも受けずに学校を飛び出した。



理由は勿論、一ノ宮先輩のお見舞い。





今日の一時間目の授業は数学。



朝のホームルームにはいたのに、数学の授業にはいないとなると、またかっちゃんが煩いのが想像つく。



もしかしたら今頃、また嘆いてるかも。





看病道具を持った私は、沢渡先輩に描いてもらった地図を頼りに、一ノ宮先輩の家を目指していた。





こんな朝から制服の女子高生が、学校とは真逆のところで辺りをキョロキョロ。



時々不審な目を向けられながらも、何とか“一ノ宮”の表札を貼られた家を見つけた。








< 138 / 390 >

この作品をシェア

pagetop