【完】向こう側の白鳥。
「ゆずーーーっ!!!!」
私の声を遮って聞こえた、一ノ宮先輩の声。
「ほら、お出迎えだよ。」
お出迎えって、まさか……。
「いちのみや、せんぱい……?」
微かな声。
小さくて、今にも消えそうな。
一ノ宮先輩はそんな私の声をも拾ってくれて。
私のいる方へと視線を向けた。
「柚子!!」
汗に塗れて、服もどこかボロボロな先輩。
「なんで、来たの……。」
なんで……私なんかの為に……。
わたし、は……。
私は……。
「私はっ!! 先輩に酷いことを言ったのに!!」
“恋人ごっこ”だ、って。